笑顔の森 〜ポジティブへの扉〜

みんなの笑顔、共感、学びを求めて。

残酷な優しさ

 

数年前にモロッコに旅行した時のこと。

 

本当に何気なくだったのだが、クリスマスも近かったし、たくさんお菓子を持っていって欲しいという子にはあげようと思っていた。

 

モロッコのマラケシュという町に一週間ほど滞在した。マラケシュには有名なジャマ・エル・フナ広場があり、毎日夕方になるとたくさんのテントが張られ、いろんな料理が食べられる。

 

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せっかくモロッコに来たということで、現地でしかできないことをしたかった。例えば、ホテルではなくリヤド(モロッコの旅館のような宿泊施設)に泊まる、タジンを食べる、ミントティーを飲む、革靴を買う、値段交渉する(モロッコの文化)…など。

 

最初の数日間はどんな店や商品があるのか見たかったのでほとんど何も買わなかった。その間も、モロッコ人がよく言えばフレンドリーで、悪く言えばかなりしつこいということが分かった(・・;)

 

最初の2日間くらいで彼らのしつこさにめげそうになり、外出したくなくなった(笑)。でも同じ人たちにあまり会わないように違うルートで店を回ったりするなど工夫してなんとか乗り越えた。

 

そんな中、フナ広場にオレンジが大量に積まれているテントがいくつかあり、搾りたてのオレンジジュースを売っていた。喉が乾いていたので買ってみることに。

 

搾りたてのオレンジジュース(大きめ、おそらくLくらいのサイズ)を日本で買ったら500〜600円くらいするのではないだろうか。なんと、そこでは約50円(‼︎!)だった。

 

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歩き疲れ、喉の渇きを癒している時、1人の現地の少年が話しかけてきた。

 

これ、買ってくれない?

 

差し出してきたのは、日本の駅前でもらえるようなティッシュだった。さすがにそれは必要ないと思い、断った。そこで、お菓子を持っていたので

 

お菓子、いる?

 

と聞くと、悲しそうに首を横に振り、去っていった。

 

今思えば日本でも知らない人にお菓子を貰っちゃダメって言われてたな…と反省。でも子供なら「うん、ありがとう!」と笑みを浮かべるものかと軽く考えていた。

 

時々この出来事を考えるのだが、私はモロッコの経済のことを何も知らなかったのだなと思う。あの少年は児童労働させられていて、旅行者に物を売って少しでも家族を支えたかったのだろう。

 

でも、子供が子供らしくいられないなんて、何て悲しいことだろう。ユニセフの記事によると、5/100人の子供が5才まで生きられないらしい。生き残ったとしても、十分に教育を受けられない子も少なくないようだ。

 

私がこの経験で学んだことは、むやみに物やお金を渡さないということ。例えその時私たちが大金をあげていたとしても、きっとすぐになくなっていただろうし、彼の労働はそこで終わらない。

 

また、大袈裟な言い方かもしれないが、誰かに何かをあげてしまうと現地の経済を崩壊させてしまうかもしれない。

 

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1人の子供にお金やものをあげてもあげなくても貧困は無くならない。その代わりに、問題が起きるかもしれない。なぜ彼にだけ、と他の人々がその子を妬むかもしれないし、他の旅行者が危険な目に遭うかもしれない。

 

私はこの失敗から学び、今後は直接お金や物をあげないと決めた。それだけで解決できる問題ではないからだ。それよりももっと大切なことに気づかなければならない。

 

残念ながら、優しく接したつもりでも、状況を悪化させてしまう可能性がある。本当に子供や現地の人のために何かをするなら、きちんとした団体や組織などを通して自分の持っている知識やスキルを教えることの方がきっと役に立つのだろうと思う。

 

今日もみんなが笑顔で過ごせますように💕

 

最後まで読んでくれてありがとう╰(*´︶`*)╯♡