スペイン国内のパッケージツアーでグラナダ、コルドバ、セビリアに旅行したことがあった。
2泊3日滞在したセビリアの宿泊施設は街の中心地にあった。立地は最高だったのだが、コーヒーが激まず(笑)で飲めたものではなかったため、ホテルでのコーヒーは諦め、目の前にあったカフェバーに行ってみた。
カウンター席とテーブル席があり、ウェイターは白シャツにベストという、フォーマルな感じ。伝統的というよりは綺麗でお洒落なカフェだった。コーヒーはイタリアンチックなコーヒーマシンで作り、珍しく透明なグラスに注いで出された。
高級感があるカフェな上にカップにもちょっと魅了され、良い気分でコーヒーが味わえた。主人も気に入ったらしく、滞在中はそこでコーヒーを楽しむことに。
2日間セビリアの町を堪能し、最後の夜にどこか飲みに行こうという話になった。ちょうどホテルの近くに気になっていたバーがあったので、入ってみた。
ドアを開けると、地元の人と思わしき客で全席埋まっており、わいわい賑わっていた。壁のタイルには伝統的なデザインが施されており、年期の入ったこじんまりとしたバーだったが、何か惹きつけるものがあった。
しばらく入り口で様子を見ていたが、一向に席が空きそうにないから、
座るところないね。
と主人に言った瞬間。カウンターの端、一番入り口に近い席に座っていた男性が振り返って、すっと立ち上がり、
ここ、よかったら座ってください。
という。スペインはまだ英語を話せる人が少なかった(少なくともその時は)ので、私たちの会話を理解できたことや、迷わず席を譲ってくれたことに驚いた。男性がバーで立って飲むこともあるが、わざわざ私のために友人との会話を中断して席を譲ってくれた紳士に、胸が一杯になった。
もともとセビリアは好きだったが、この出来事で、もっと好きになった。
最終日の朝、例のカフェバーに行くと、同じウェイターが、「いつもの?」と聞いた。
最後のコーヒーを惜しみながら、味わいながら飲んだ。帰り際に主人が、
残念ながらもう来れないけど、ありがとう。
というと、ウェイターは不思議そうに
え、なんで?どこに行くの?
と聞いてきた(笑)。既に常連客のように接してくれていたのだ。小さなことだけど、こんなことでさえ嬉しく感じた。
人との出会いや言動はちっぽけなことでも他の人を幸せにも不幸せにもできる。相手は忘れていているだろうけど、私たちにとってはいい思い出で、話す時はいつも笑顔にしてくれる。
誰かがふと思い出した時に笑顔になるようなエピソードの一部になれるように人と接することができたら良いなと思う。
今日もみんなが笑顔で過ごせますように💕
最後まで読んでくれてありがとう╰(*´︶`*)╯♡